ある日突然、唇が腫れる。
いや、腫れたといってもパンパンに腫れたりするワケじゃなくって、ビー玉やBB玉が入っているかのようにプックリ腫れる。でもプニュプニュして柔らかい…。
それ、粘液嚢胞なんじゃないです?
一見するとそんなに腫れてないように見えるんですけどね。
唇をめくってみると、こんな風に腫れているワケです。だんだん大きくなるワケでもなく、気付いた時にはこの大きさ。なんならしぼんでしまうこともあったりする…そんなのが粘液嚢胞です。
さて、急激に大きくなるものは細胞の変性や組織の変化のスピードを超えてしまっているので、明確なキッカケがあると考えるわけですが、今回のこの患者さんも気付いたらこの大きさだったとのこと。
そして腫れたりしぼんだりを繰り返す場合は、内部に液体があることを考えます。これが膿だとすると、痛みを伴うですが、今回は無症状でした。
…となると、おそらく位置的に内部には唾液がはいっていたと考えられるので…
最初に疑うべきは粘液嚢胞になります。
唇の中にはたくさんの唾液をつくるこめつぶぐらいの組織がたくさんあるのですが、その組織がつぶれてしまうと唾液をだす場所がとざされてしまい、風船状に膨らむのです。もちろん中は唾液です。
たまってくると破裂するようにしぼんでしまい、またしばらくすると腫れてくるのも特徴ですね。
悪いものであることはほとんどありませんが、ケーコ歯科では組織検査を委託し、病理検査にて確定診断をくだすこととしています。
手術的に、外科的にとりだすのですが、破裂してしまうことも多く、安全に破裂させずに摘出するのは外科医の腕のみせどころ…
唾液がはいっていてプルプルですが、無事に摘出。
この後は縫合して終了。およそ20分ぐらいの処置になります。
そして1週間後には病理組織検査の結果です。もちろん悪いモノではありませんし、粘液嚢胞で確定です。
同じような症例でお悩みの方は、ケーコ歯科までご連絡ください!
■ 書いた人:ケーコ歯科 歯科医師 塚本
口腔外科で病院勤務後、ベテラン歯科医師の元で研鑽を積み、歯科医院の分院長を経験。現在は名東区で歯科医院を開業しています。
診断力と器用さを武器に、オールラウンド型歯医者を目指して奮闘中。