7月初旬のこと、40代半ばの男性が来院されました。右下の奥歯がパンパンに腫れ上がり、本当にお辛そうなご様子でした。
一見強そうな方でも、お口の痛みや恐怖心は等しくあるものです。まずはこの苦痛を取り除くことに全力を注ぎました。
当初、お口の中を切って膿を出す「口腔内切開」を行いましたが、中からは大量の膿が溢れ出てきました。
原因となっている歯はボロボロの状態で、継続的な処置が不可欠であることを伝え、点滴と投薬を行いました。「2〜3日後に必ず見せてくださいね」と約束を交わしたのですが、残念ながらその患者さんは現れませんでした。
それから約1ヶ月後の7月下旬、同じ患者さんが再び姿を見せましたが、事態はより深刻でした。
お顔の腫れが顎の外側(頬側)にまで広がっていたのです。私はその腫れを見た瞬間、
(あぁ〜…これは中で膿が組織を突き破ったな)
と直感しました。お口の中を診ると、案の定、前回の切開部位が「穴(瘻孔)」となって残り、そこから膿の通り道ができていたのです。
今回はやむを得ず、お顔の外側からメスを入れる「口腔外切開」を行いました。モスキート鉗子という器具を差し込むと、お口の中と外側が完全に貫通していることが確認できました。顔の外側を切る処置は、できれば避けたい重い事態なのです。
口腔外から切開し、点滴までできる歯科医院はあまり多くありません。
状態はよくなったはずですが、今後の治療がカギです。
ただ…、残念ながら再びキャンセルとなってしまいました。
このまま放置を続ければ、単なる腫れでは済まず、「骨髄炎(こつずいえん)」という、顎の骨そのものが細菌に侵される非常に厄介な病気へ移行する恐れがあります。そうなれば入院や大がかりな手術が必要になり、原因の歯を抜くことも避けられません。
もしこのブログを見ていたら、医院まで連絡ください。結構心配しています。