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👄唇が切れた時【閲覧注意】⚠️|名東区の歯医者|ケーコ歯科

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👄唇が切れた時【閲覧注意】⚠️

総合病院に勤務時代、口まわりの外傷の処置を救急外来から要請されることがよくありました。
夜中に歯科の研修医と一緒に外傷後の諸検査を終えた患者さんの傷を縫合するなんてコトは”口腔外科あるある”だったりしますね。

【症 例】

外出先で転倒された60代の女性。
「唇が切れて血が出た」ぐらいの感じで普通にマスクをして受診されたのですが、口の中をみてみるとガッツリ切れて骨がみえてました。下の前歯の唇側の粘膜が裂け骨が露出し、下唇は2cm 程切れていました。
顎にも内出血があり打撲したのが想像できます。



歯茎に穴があき、下唇が裂けてます。
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歯茎の穴は深くて骨が見えてます。
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ドクターそれぞれ違うでしょうが、私が外傷で一番必要だと考えているのは、受傷時にダメージを受けてから傷が成立するまでのプロセスを推理すること。それは、そのプロセスをキチンと考えないと、他に考えるべき検査や処置の選択を誤ってしまう可能性があるからです。


どこで受傷したか?
屋外ならばコンクリート・鉄・土など硬かったり、汚かったりと条件がかわります。汚染されていたら、傷口を徹底的に消毒し、縫合の仕方も配慮が必要になります。

 

どんな風に受傷したか?
たとえば転倒したのか、ぶつかったのか?受傷時の衝撃の強さ・方向とぶつかったモノによって、ダメージを受けた部位がかわります。傷口の切れ方や裂け方を診て、ダメージを受けた部位をさらに深掘りします。


歯は硬い組織です。弱い力であれば外力は骨に伝わり、強い力であれば外力は歯に伝わります。たとえば、屋外でつまづいてコンクリートにぶつかったのであれば、瞬間的に加わった強い衝撃は骨に伝わる前に歯を割ってしまうワケです。
屋外のコンクリートで唇が切れているのであれば、不潔になっているので内部の清掃・消毒が重要ですし、歯で唇が切れているのであれば、その歯はダメージを受けているので特定してレントゲンなどが必要になります。

今回のケースは、屋外での転倒によるものでしたね。
まず唇の傷ですが、上の前歯に軽い揺れと痛みがあり歯形も一致したので、上の前歯で唇を噛んだコトによるものと推察されます。幸いX線でも上の前歯に初見は認められませんでした。
次に下の前歯近くの粘膜の裂けたような傷ですが、ナイフで切ったような綺麗な傷口ながら内部はそうでもありません。顎の先端に打撲痕がありましたので、受傷時に外力により内部で裂けたものとひとまず推察しました。
咬み合わせも自覚症状なく、X線上異常初見はありません。骨折はないものと思われましたので、通常の縫合だけで良いと判断しました。

基本的に救急的に受診されるワケです。当然他の予約患者さんの合間を縫って文字通り縫合するので、ある程度速さが要求されます。唇なので審美的に問題がないようパズルのように唇を元に戻して縫合しています。



縫合直後。他の患者さんの予約の合間を縫って、11針縫いました。



処置翌日の状態。 



そして1ヶ月後の状態。まだ傷口の瘢痕(シコリ)はあるので、唇に若干違和感はあるのですが、時間とともに少しづつですが治ってゆくでしょう。

基本的に受傷された患者さんは総合病院にそのまま受診されることが多いので、開業してしまうと外傷後の処置をする機会は少なくなります。それでも口腔外科の標榜に患者さんから問い合わせがあるので、他の歯医者さんに比べると外傷の処置は多い方なんじゃないかと思います。

多いのは幼稚園・保育園での転倒時の受傷ですが、多くは大事に至っておらず、初見も認められません。ひと昔前のように押さえつけて縫合なんてこともなく、経過観察になることがほとんどですね。

他にも口腔外科については詳しくご説明していますので、興味があればどうぞ。

👉詳しくはコチラ

■ 書いた人:ケーコ歯科 歯科医師 塚本

口腔外科で病院勤務後、ベテラン歯科医師の元で研鑽を積み、歯科医院の分院長を経験。
現在は名東区で歯科医院を開業しています。
診断力と器用さを武器に、オールラウンド型歯医者を目指して奮闘中。